依頼者A(45才の男性、トレーラー運転手)はトレーラーを運転して帰社中、
加害者Bの運転の車両が対向からセンターラインをオーバーしてきてA車両に衝突し、
Aは、頸椎捻挫、腰椎捻挫の傷害を負ったものである。
Aは8か月間治療したが、頚部痛みや腰部痛みを残した。
Bが加入していたC共済はAの後遺障害につき事前認定の申請をしたところ、
後遺障害非該当とのことであった。
Aはこの時点で会社の加入していた任意保険会社の代理店を通じ、当事務所に相談をした。
当事務所は被害者請求をしたが、後遺障害非該当との結果は変わらなかった。
Aの勤務する会社は弁護士特約付保険に加入していたため、
AはBを被告として静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起した。
Aは後遺障害を12級として請求したが、裁判所はAには頸腰椎に経年性に変性所見があり、
これが悪化して腰痛の症状が出ているものとして、Aの後遺障害を14級9号
(局部に頑固な神経症状を残すもの)と判断した。
そして、BがAに対し、既払金138万円を除き約500万円を支払えとのことで1審判決が確定した。
本件の場合、後遺障害非該当が14級9号になったことは評価できるが、
本件は業務中の事故であり、労災保険が適用されるものあるが、
Aに知識がなかったためこの申請をしなかったことが悔やまれる。
労災保険における障害補償給付では12級が認められる可能性があったと思われるからである。
12級が認められれば、金額も2.5倍から3倍になるはずであり、
交通事故において労災保険の適用がある場合は、その適用を先行させる必要がある。