(2017年4月20日解決)
依頼者A(57才の男性、会社員)は、車両を運転し走行していた。
前方の横断歩道上に歩行者がいたので停車したところ、B運転の車両に追突された。
Aは、この事故により、頚椎捻挫、腰椎捻挫の傷害を負った。
Aは、6か月後に症状が固定されたと診断されたが、頚部から両肩甲部にかけての痛み、腰部の痛み、左下肢のしびれが残存した。
Aは、6か月の治療期間に整形外科に26日間しか通院せず、接骨院に96日間通院し、主に接骨院で施術を受けた。
Aは、症状固定後に当事務所に相談した。
当事務所は、当事務所に用意してある医師向けのお願い文をAに交付し、主治医のC医師に自賠責後遺障害診断書を作成してもらった。
その上で、併合第12級に該当する旨の意見書と放射線診断専門医の画像鑑定書をつけて、自賠責会社を通じ、静岡自賠責損害調査事務所に後遺障害についての被害者請求をした。
静岡自賠責損害調査事務所は、C医師がホフマン反射、トレムナ-反射がないことを根拠に、頚部の症状の他覚的所見がないと述べ、腰部の症状についても、バビンスキー反射がないことをもって他覚的所見がないとして、Aの後遺障害を併合第14級(局部に神経症状を残すもの)とした。
Aは、第12級9号(局部に頑固な神経症状を残すもの)をめざし、Bを相手取って、静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起した。
Aの尋問が終了した後に、裁判所から和解案が出された。
それによると、MRIによってヘルニアがあることは認められるが、それが本件事故と因果関係を有すると認めるには証拠が足りない、すなわち、加齢性の変性によるものではないかということであった。
又、病的反射もなく、第12級9号を認めることはできないとした。
その上で、Aの症状の軽快には通常よりも時間がかかる可能性があるということで、後遺障害の逸失利益の期間を裁判所基準の5年より長めの7年間とした。
そして、裁判所は、治療費と施術費94万2540円を除き、315万円の提示をした。
AとBの加入している自動車任意保険D損害保険会社もこれを受諾し、訴訟上の和解が成立した。
12級9号が認められなかったのは残念であるが、本件の場合、Aが接骨院を中心として症状の回復を図ったことが原因であるように思われる。
接骨院での施術を希望する方は、あわせて同じ位、整形外科にも通院しないと、高位の後遺障害を得ることは無理であるので留意されたい。