2015年11月24日解決
依頼者A(37才の男性、会社員)は、バイクに乗車して交差点を進行していたところ、対向からB運転の加害車両が右折してきて、バイクの右側に衝突し、Aはバイクもろとも左側に転倒し、頚部捻挫、腰椎捻挫、両肩関節挫傷の傷害を負ったものである。
AはC医院で9か月間治療を受けたが良くならず、頚部から左肩甲部にかけての疼痛と、左手にしびれを残して症状固定となった。
Aの後遺障害は、第14級9号(局部に神経症状を残すもの)と認定され、当事務所は、第12級9号を主張し、異議の申立てをした。
当事務所は、頚椎MRIの画像所見をもとに、C6/7椎間板ヘルニアによる神経障害を主張したが、Aの主治医のC医院は、静岡自賠責損害調査事務所の「神経学的所見の推移について」の照会で、「神経学的所見はない」と回答しており、Aの主張は通らなかった。
裁判になれば、この結論が覆る可能性はあったが、Aは弁護士特約付保険に入っておらず、328万円余で、Bの加入している自動車任意保険D損保と訴訟外の和解をした。
Aの過失は10パーセントで、裁判所基準によるものであり、損害賠償額としては多くもなく、少なくもなくの額であった。
Aが主治医に対して、常日頃から、しびれの点も含め、自己の身体の状況を克明に訴えていて、それがカルテに記載されていれば、当事務所としては裁判を勧めることができたが、本件の場合、主治医のカルテ記載が簡単で、神経症状についても、全く記載のない状況では限界があった。
むち打ち症に苦しむ被害者は、それが単なるむち打ち症の症状ではなく、ヘルニアによるものであることも考えられるので、しびれについては、主治医に述べておく必要がある。
そうしないと、裁判でもなかなか第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)とは認めてもらえない。