(2014年2月7日)
依頼者A(70歳の女性)が自転車に乗り走行中、後方から走行してきたBの普通乗用自動車と衝突し、第1腰椎圧迫骨折の傷害を負い8か月後に症状固定となった。
自賠責静岡調査事務所によって、Aの後遺障害は11級と判断された。
Bの加入していたC損害保険会社は、Aに対し赤本基準(裁判所の基準)を無視した492万円を提示した。
この提示でひどいことは、後遺障害による損害額を自賠責後遺障害保険金の331万円としたことである。
後遺傷害による損害は、後遺障害による逸失利益と後遺障害の慰謝料に区分されるが、C損保は11級の自賠責後遺障害保険金を後遺障害の損害としたものである。
これは、C損保に限らず、一括払いの場合、他の損害保険会社も、ややもすると用いる手法であるので、被害者が結果的に欺されることになる。
AはC損保の提示が妥当か否か、当事務所に相談し、当事務所は休業損害、後遺障害の逸失利益とも主婦としての基礎収入である355万9000円(2011年の賃金センサスの女性労働者の平均賃金)を用い、再計算し1000万円余を提示した。
C損保は10%の過失相殺の主張をし、これには不満であったが、C損保から837万円を支払うとの提示があったので訴訟外の和解をしたものである。
70歳位の年齢になると、主婦休損も後遺障害による逸失利益も、損害保険会社は全額認めようとしないが、本件では、この点について、後遺障害の逸失利益の期間5年間の提示があった。
当方は10年間を主張したが、Aの希望により訴訟外の和解をしたものである。