(2013年9月25日解決)
主婦A(40歳)が普通乗用自動車を運転し、青信号で交差点を通過しようとしたところ、赤信号を無視したB運転の普通常用自動車がA車両の側面に衝突しAが負傷した。
Aは頚椎捻挫と診断され、約14か月後に症状固定となった。
Bの加入しているC損害保険会社は、早速、自賠責静岡調査事務所にAの後遺障害の事前認定を申請した。
その結果、Aの後遺障害は14級9号(局部に神経症状を残すもの)と認定され、CはAに対し、治療費を除き189万円余の損害賠償額を提示した。
Cの算出したAの後遺障害の逸失利益、後遺障害の慰謝料は合計75万円というもので全く話しにならず、家事労働に基づく休業損害も低額であった。
Aは当事務所にCの提示した損害賠償額及び等級が適正なものか相談をした。
当事務所では頚椎のMRIを撮影してもらい、それに基づく意見書をつけて14級9号の後遺障害認定に異議の申立てをしたが、自賠責静岡調査事務所の判断は変更されなかった。
普通であれば、訴を提起するのであるが、Aは弁護士費用特約付保険に加入しておらず、Aの希望により、当事務所は14級9号に基づくAの損害賠償額を治療費を除き520万円余と算出し、その額をCに提示した。
主婦労働の後遺障害の逸失利益63万円(喪失期間は5年間で、労働能力喪失率は5%)、後遺障害の慰謝料110万円で、後遺障害の損害賠償額は合計173万円であった。
さらに主婦労働が出来なかったことによる休業損害221万3400円(最初の30日間は全額、症状固定日までは半額とし、基礎収入は賃金センサス平成23年の女性の平均年収355万9000円を用いて計算)がCの当初の提示額と異なるものであった。
Cは当事務所の請求額をほぼ認め、既払金を除き500万円を支払うことで訴訟外の和解が成立した。
Aが弁護士費用特約付保険に加入していれば訴を提起し、鑑定により12級13号と認定させる余地もあったが、そのようにならないリスクを考え訴訟をしなかったことは残念であった。
現在、鑑定費用は50万円程度になっており(以前は20万円から30万円程度)、時には70万円ないし100万円を請求する鑑定医もあるので、弁護士費用特約付保険に加入しておくことが大切である。
Cに限らず、損害保険会社は、後遺障害の損害として自賠責後遺傷害保険金相当額を提示してくることが多いので騙されないようにすることが重要である。
又後遺障害等級認定を被害者請求ではなく、損害保険会社による事前認定の方法によると、後でこれをくつがえすことは大変になるので、被害者請求の方法により、その上で意見書をつけて申請することが何よりも重要である。