被害者請求で第5級2号を獲得し、既払金4330万円を控除し、7500万円を得て訴訟上の和解(2023年4月12日解決)

依頼者A(51才の男性、会社員)は、仕事からの帰り、深夜に自宅まで歩いていたところ、後方から走行してきたB運転の車両にはねられ、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、脳挫傷、外傷性くも膜下出血等の重傷を負い、長期間療養し、症状固定となりました。

 Aは、高次脳機能障害の後遺障害を負い、自身で労災保険に対して障害給付申請をしたが、その等級は第7級4号でした。

 その後、Aは当事務所に相談し、当事務所では第7級4号ではAの後遺障害の実態に合致しないとし、静岡労働局の労災保険審査官に対し、審査請求を行いました。

 そうしたところ、Aの高次脳機能障害は、第5級2号に該当するものとし、変更決定がされました。

 当事務所は、労災記録を付けた上で、自賠責会社にAの後遺障害の等級認定を求めたところ、静岡自賠責損害調査事務所は、Aの高次脳機能障害の程度を第5級2号(神経系統の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの)に該当するものとしました。

 本件は、高額事案であるので、訴訟を提起し解決するのが相当であるとして、AはBを被告として、静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴えを提起しました。

 数回の審理の後に、裁判官は、A、B双方に和解案を提示し、その内容は、BはAに対し、既払金4330万円を除き7500万円を支払えというものでした。

 Aの過失割合は5%、将来介護費は1日1500円、後遺障害の逸失利益は5958万円でした。

 Aは大会社で働いていたので、会社の配慮により、職場復帰後もほとんど減収がなかったが、和解案は、Aの減収がないのは会社の配慮によるものだと認めました。

 しかしながら、労働能力喪失率は第5級の喪失率79%ではなく60%として、後遺障害の逸失利益を計算したものでした。

 A、B双方は和解案を受け入れることになり、訴訟上の和解が成立しました。

 本件は、A本人がそのまま労災保険の障害等級を受け入れ、そして、自分で自賠責会社に後遺障害の申請をしていたら第7級4号になった可能性があります。

 重度の高次脳機能障害の場合は、事故直後から弁護士に相談し、弁護士のアドバイスを得る必要があります。

 当事務所では、高次脳機能障害事案を数多く扱ってきたので、相談いただけると幸いです。

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