92才の男性の高次脳機能障害で第2級1号に認定され4100万円を獲得し訴訟外の和解

依頼者Aの父B(92才,無職,年金暮らし)は,横断歩道を歩行していたところ,C運転の車両にはねられ,脳挫傷,左鎖骨々折,左膝打撲の重傷を負った。

2か月間入院し,リハビリに励んだが,高次脳機能障害を負った。

Bは,外見上は普通であったので,Cの加入している任意保険会社は,Bの後遺障害はせいぜい12級位であると,娘であるAに伝えていた。

症状が固定した段階で,Aは当事務所に相談した。

Bには脳損傷後の所見として,脳挫傷痕の残存があり,事故当時,6時間以上の意識障害もあったので,当事務所は,治療経過,症状経過を踏まえ意見書を作成し,自賠責会社に認知,情緒,行動障害があることを訴えた。

その結果,Bの後遺障害は自賠法施行令別表第一第2級1号(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの)に認定された。

今,高次脳機能障害の認定にあたっては,脳挫傷痕の存在と6時間以上の意識障害の存在が最も重視され,これに,家族の記載による日常生活状況報告,主治医の記載による「神経系統の障害に関する医学的意見」が参照されて,等級が決まることになる。

しかし,静岡自賠責損害調査事務所は,脳挫傷痕と意識障害の存在を最も重視していることははっきりしているので,これらが存在しないと,たとえ,高次脳機能障害の症状があっても適正な等級は認定されないことになる。

高次脳機能障害を有する被害者のご家族は,この点を頭に刻み,症状経過を見守る必要がある。

Bの場合,92才の高齢者であったが,2級の等級が認定されたので,治療費以外に4100万円を取得でき,2021年3月22日に訴訟外和解したものである。

脳外傷を負った場合,早めに高次脳機能障害の病態と損害に詳しい弁護士に相談する必要がある。

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