後遺障害非該当が第9級になり訴訟上の和解(2020年3月10日解決)

 依頼者A(18歳の男性,建築作業員)は,小学校2年生の時,自転車に乗って自宅前を走行していたが,前方から走行してきたB運転の車両にぶつけられ,頭部を打撲した。

 頭蓋骨の骨折はあったが,MRI上,脳挫傷は指摘できないと診断され,8日間入院しただけであった。

 Aの親は,Aの症状について,経過観察をしていたが,Aが中学に入学してから事務所に相談があった。

 Aは事故後,学業も不振で,高校には進学しないということであった。

 当事務所は,自賠責後遺障害診断書を入手し,自賠責会社を通じ,静岡自賠責損害調査事務所に被害者請求をしたが,同事務所は,高次脳機能障害はないとして,後遺障害非該当とした。

 その後,脳神経外科医に意見書を作成してもらい,異議の申立てをしたが,結論に変わりはなかった。

 そこで,Aは,静岡地方裁判所にBを被告として損害賠償請求の訴を提起した。

 A,B双方から自己の主張を裏付ける医学意見書が出され,裁判所の鑑定により,小児科医,脳神経外科から鑑定書が出された。

 Bの加入しているC損害保険会社は,Aの勉強にやる気のないこと等は,発達障害によるものであるとの主張がなされた。

 Aが小学生の時,Aは,地元の小児科医から,発達障害であると診断されていたため,鑑定人もそれによることも考えられるとされた。

 双方の主張が尽くされた後,裁判所から和解勧告があった。

 裁判所は,Aの症状については,発達障害であるか高次脳機能障害のいずれかというよりは,これが相まって生じていると認めることができるとして,後遺障害の程度を第9級であるとした。

 その上で,本件事故について,Aに40%の過失があり,又,発達障害の素因も70%あるとして,BかAに対し850万円を支払うべきだとの和解案を示した。

 A,B双方ともこの和解案を受諾し,2020年3月10日,訴訟上の和解が成立した。

 このような複雑な事案は,事故直後から弁護士に相談し,診断名の特定や治療の方針を主治医も交え協議しないと,7年も経過してしまった時点では,症状と事故との因果関係が分からなくなってしまうことが多い。  その場合,被害者に不利になることが多いので,被害にあった子供の親は,上記のことについて留意されたい。

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