(2017年6月14日解決)
依頼者A(33才の男性、会社員)は車両を運転して直進中、エンジンが停止したので、ハザードランプを点灯させ停車し、エンジンキーを操作していたところB運転の車両に追突された。
Aはこの事故によって、頚部捻挫、腰部挫傷を負った。
Aは当初整骨院に通院し施術を受けたが事故後1か月が経過した時点でC整形外科に行き、治療を受けた。
C整形外科でも腰痛の症状の改善がみられなかったので、C整形外科のD医師の勧めによってE病院で腰椎のMRIを撮影してもらった。
その画像にヘルニア所見があったが、Bの加入している自動車任意保険F損害保険会社の後遺障害事前認定によってAは後遺障害非該当とされた。
Aは当事務所に相談し、Aの後遺障害について自賠責会社を通じ被害者請求をしたところ、静岡自賠責損害調査事務所は第14級9号(局部に神経症状を残すもの)と認定した。
Aはこの結果に満足せず、Bを相手どって静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起した。
裁判官は専門委員の医師の見解を聞いたが、腰部にヘルニアがあるが、本件事故によるものかどうかはわからないとのことであった。
裁判官はAB双方に和解勧告をし、Aの腰部の症状はヘルニアガ起因しているものと考えるが素因も原因していると思われるので、第12級13号は認めるが、素因減額は50パーセント程考慮し、BはAに対して既払金106万円の他に400万円支払えというものであった。
A・B双方はこの和解案を受諾し、訴訟上の和解をした。
今裁判所は、MRIの画像上にヘルニアがあったとしても単純に事故によるものとは認めない傾向があるので、14級ではなく12級を主張する者は主治医に神経学的検査を頼み、腰部に事故前にはない神経の異変があることを克明に立証していかなければならない。
裁判所がむち打ち症について、鑑定しない傾向があることからすれば、被害者は常日頃から自分の症状を訴え、それが医学的に証明できることを念頭におかなければならない。