2015年12月24日解決
依頼者A(48才の女性、大学講師)は、普通乗用自動車を運転して走行中、前方の信号機が赤色を表示したので停車したところ、B運転の後続の車両に追突され、頚椎捻挫、腰椎捻挫の各傷害を負った。
Aは7か月間、C整形外科に通院したがよくならず、頚部から両肩甲部にかけての疼痛を残し、症状固定となった。
Aは当事務所に相談したが、C整形外科では頚椎のMRIを撮影していなかったので、当事務所はD病院で撮影するよう指示した。
その上で、静岡自賠責損害調査事務所に後遺障害の被害者請求をしたが、症状の一貫性がないということで、後遺障害非該当と認定された。
Aは、弁護士費用特約付保険に加入していたので、Bを被告とし、静岡地方裁判所に損害賠償の訴を提起した。
D病院で撮影された頚椎MRI上、AのC4/5椎間板に膨隆がみられたので、これをもとにAの症状を克明に主張したところ、裁判官はAの申出による鑑定を採用した。
H医科大学のE医師が鑑定人に選任され、Aの後遺障害の程度は14級9号(局部に神経症状を残すもの)であるとの鑑定意見が出された。
裁判所は14級9号を前提に、BがAに対し、既払金(治療費)の他に、400万円支払うということで訴訟上の和解が成立した。
本件では鑑定が採用されたが、これが裁判所の心証を変える大きな原因となった。
最近の静岡地方裁判所はむち打ち症事案では、なかなか鑑定を採用してくれないが、本件では幸運であった。