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依頼者A(38歳の男性、会社員)は、普通乗用自動車を運転して交差点に進入したところ、左方からB運転の普通乗用自動車が進入してきてA車両の左側助手席部分に衝突し、Aが頭部外傷、頚椎捻挫の傷害を負った。
Aは、事故当日、C病院に通院したものの、その後は夜間も施術をしてくれるD整骨院に通院した。
そして、D整骨院の施術が6か月で終了してから数日間C病院に通院し、自賠責後遺障害診断書を作成してもらった。
Aには、頚部から左肩甲部にかけての疼痛、左手にしびれがあったが、大半をD整骨院で施術を受けていたため、静岡自賠責損害調査事務所は自覚症状を裏づける有意な神経学的所見はないとして後遺障害非該当と判断した。
Aは弁護士特約付保険に加入していたため、エムアイコミュニケーションズに画像読影を依頼した。
その結果、C病院で撮影したAの頚椎MRI上、C5/6椎間板にヘルニアがあることが判明した。
Aは、この画像所見をもとに、Aの訴える自覚症状は画像上からも証明できるものとしてBを相手どって、静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起した。
B(実質的な被告はBの加入しているE損害保険会社)は、静岡自賠責損害調査事務所の判断が後遺障害非該当だとして、Aには後遺障害がないと主張した。
裁判所は、A、Bに和解での解決を勧めたが、Bがこれに応ぜず、判決となった。
その結果、裁判所は、Aの過失割合を15パーセント、Aの後遺障害を第14級9号(局部に神経症状を残すもの)として、Bに対し、遅延損害金を含め約300万円の支払いを命じた。
AがD整骨院と共にC病院にも通院していたら、C病院のカルテにAの症状が克明に記載され、Aの後遺障害等級が第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)と認定されることもありえたが、AがもっぱらD整骨院を主体に通院した結果、立証上の限界が生じた。
整骨院の施術の有効性は勿論あるが、静岡自賠責損害調査事務所や静岡地方裁判所は、被害者の後遺障害認定に際し、整骨院での施術経過をほとんど重要視しないので注意が必要である。
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