(2013年12月26日 訴訟上の和解)
依頼者A(33才の男性)は、犬を連れて歩行していたところ、バックしてきた普通乗用自動車にはねられ右膝のじんたい等を損傷した。
自賠責静岡調査事務所は、後遺障害非該当と判断したため、Aはこれを不服として静岡地方裁判所に損害賠償の訴を提起した。
裁判所の選任した鑑定医は、Aの膝関節痛について、外傷を契機としたタナ(内側滑膜ヒダ)切除後の痛みであるとして12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)に該当するものと鑑定意見を述べた。
これに対し、加害者の加入しているB損害保険会社は、このところ恒例になっている静岡市内の整形外科医O医師の意見書を提出し、反論を試みたが、裁判所は鑑定書に依拠し、和解案を提示した。
過失10%、素因減額20%(本件事故前より存在していたタナが膝関節痛の原因となっていること)という、Aにとっても厳しい内容であったが、Aは裁判所の提示した既払金767万円を除く1200万円の支払いという案を受諾した。
B損害保険会社はこれに抵抗していたが最終的に受諾し、訴訟上の和解が成立した。
和解案は後遺障害の逸失利益の期間として67才までの全期間を認めており、それなりに評価のできるものであった。
Aが弁護士に依頼せず、自賠責静岡調査事務所の後遺障害非該当の判断を公的な判断だと誤解し、あきらめてしまえば、せいぜい300万円程度の損害賠償金しか取得できなかったものであるので、何よりもあきらめないことが大切である。
本件の場合、Aの主治医の丁寧なカルテ、診断書への記載があり、これが鑑定人にいい影響を与えたものである。
被害者にとって主治医との関係がいかに大切であるかは、本件を例にとっても強く妥当する。