(2017年8月31日解決)
依頼者A(60才の男性、会社員)は、バイクを運転して直進中、左方の脇道からBの運転する車両が突然出て来て、Aのバイクと衝突し、Aは路上に倒れた。
Aは、外傷性くも膜下出血の障害を負い、C病院に4日間入院し、その後8日間経過観察の通院をし、1年後に症状固定となった。
Aは、左手の中指にしびれがあり、頭痛もあり、なんとなく物忘れがしやすい状態になった。
Aは、退勤途上の事故であったので労災保険で治療をしたが、D労働基準監督署長は、Aの後遺障害について、第14級(局部に神経症状を残すもの)であるとした。
Aは、当事務所に相談し、この結果について審査請求をしたが、結果は棄却となった。
そこで、当事務所は、Aの症状は高次脳機能障害である旨の意見を付して、自賠責会社を通じ、静岡自賠責損害調査事務所に被害者請求をした。
同事務所は、Aには、脳挫傷痕が残存し、「以前に覚えていたことを思い出せない。」等の症状があることから、高次脳機能障害があり、第9級10号(神経系統の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの)に該当するものと判断した。高次脳機能障害の認定に当たっては、脳挫傷痕の存在が重要視されるので、患者や家族はこの点につき留意することが重要である。
主治医に対し、治療当初から、この点を十分に確認しておく必要がある。Aの損害額は、14級ではせいぜい200万円程度であろうと思うが、9級になり、1400万円を獲得することができたものである。
Bの加入している自動車任意保険E損害保険会社は、労災保険の等級14級があったが、これにはこだわらず、Aの過失15パーセントを控除した上で、上記の金額を提示してきたもので、Aもこれを承諾し、訴訟外の和解となったものである。