自賠責調査事務所が14級9号と判断した交通事故被害者の女性について併合9級を認めた裁判所の判決を得た事例


自賠責調査事務所が14級9号とした被害者について併合9級の判決を得た事例

(2017年4月27日解決)

女性Aは、自動車を運転し、青信号に従い交差点に入ったところ、信号無視をしたBの運転する自動車と衝突した。

Aは、交通事故後、頭痛、めまい、肩が上がらないなどの種々の症状に悩まされることになった。
Aは、複数の病院で入通院をするなどして治療に努めたが、後遺障害が残った。
後遺障害の内容は、頭痛、めまい、ふらつき、両肩が上がらない、歩行困難などであり、Aは電動車椅子での生活を余儀なくされた。Aは仕事も家事労働も全くと言っていいほどできなくなった。

自賠責調査事務所は、Aの後遺障害について14級9号と認定した。両肩の後遺障害については、事故直後に訴えがないことなどを理由に認めなかった。
Aは、自賠責調査事務所の判断に納得できなかったため、Bを相手に訴訟を提起した。

Aの後遺障害について14級より上の等級を得るため、裁判所において鑑定を採用してもらった。
鑑定の実施に際してはAの通院記録などを確認し、カルテや画像等を取り寄せて裁判所に提出した。
鑑定をした医師(C医師)にAの後遺障害について見解を求めた。

C医師は、Aの両肩の後遺障害について交通事故が原因であると判断した。

また、頭痛やめまいなどの神経症状について14級より上の等級を得るため、Aの主治医の神経内科医Dに意見書の作成を依頼した。Dは協力を約束し、意見書を作成した。

裁判所は、C医師の見解は採用したが、D医師の見解は採用しなかった。裁判所は、Aの後遺障害について併合9級と判断し、総額約1400万円の和解案を示した。
Aは、裁判所の和解案に納得することができず、判決を得て、東京高裁へ控訴した。
Aは、9級より上の等級を得るため、県外のE医師に意見書の作成を依頼した。
E医師は多忙にもかかわらず協力をしてくれた。Aは、E医師の意見書も提出して一審判決の変更を求めた。

しかし、裁判所は、一審判決を正当と認め、Aの控訴を棄却した。その理由の一つは、Bの加入する任意保険会社Fから依頼を受けたG医師がAの主張を否定する意見書を作成したことであった。
Aは、費用対効果や今後のことを踏まえて上告を断念し、Fから入金された保険金を受け取ることで解決となった。

もっとも、解決までに事故発生日から相当程度の日数が経過していたことにより、多めに遅延損害金が発生していたことから、Fから入金された金額は約1700万円であった。
控訴は棄却されたが、結果としては、一審での和解案よりも多い額をAは獲得することになった。

後遺障害を争う場合には、保険会社は協力医の意見書を提出してくることが多い。
被害者側も協力をしてくれる医師を探す必要がある。

また、鑑定を実施してもらうよう裁判所に要請をしていく必要がある。
ただし、鑑定医は被害者にとって有利な意見を述べるとは限らないということも注意しておく必要がある。実際、C医師は一部についてAの主張とは異なる見解を述べており、その部分については裁判所がAの主張を認めなかった。

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