(2017年2月8日解決)
女性Aは原動機付自転車で走行中、信号機のない交差点に入り右折しようとしたところ、向かってきた直進の乗用車(運転者B)と衝突した。
女性Aは治療を続けたが、右足関節可動域制限、骨盤骨変形、手術痕などの後遺障害が残った。自賠責調査事務所はAの後遺障害について併合9級を認めた。
Aは、Bを相手に訴訟を提起した。Bは、交通事故を避けることはできなかったために責任はないなどと主張した。
裁判所は、Aの後遺障害について併合9級を認めた。裁判所は、Bの主張を認めず、過失相殺をしたものの、総額約400万円程度の和解案を提示した。
今回の事件は基本過失割合が50:50であることから、過失相殺をされることはやむを得ない事件であった。
過失相殺の程度によっては和解金額が大幅に減額される可能性があったが、Aの主張を考慮してB側の責任を加重し、裁判所は和解案を提示した。過失相殺の主張に際しては、実際にAと事故現場に行き、事故状況を細かく確認し、実況見分調書との相違点を明らかにした。双方ともに和解案を受諾し、訴訟上の和解が成立した。
その後、Aは人身傷害特約に基づき保険金を請求したところ、1000万円以上の入金があった。
その理由は、人身傷害特約により過失相殺された部分を保険が補填してくれるのであるが、Aの事案は併合9級と重い障害のために損害の額が大きくなったものの、Aの主張が認められたとはいっても相当程度の過失相殺がされたことにより和解金額が減額されたからであった。人身傷害特約をつけておけば、出会い頭事故など過失相殺をされることが多い事故に遭遇したとしても、自らの過失部分を自己が加入する保険が補填をしてくれることになる。
人身傷害特約に入っておくことをお勧めする。