(2016年12月2日解決)
依頼者A(女性、14才、中学校2年生)は、父の車に同乗中、B運転の車両が衝突し、その衝撃で破損した座席の窓から外部に放出され、負傷し、額に醜状痕が残った。
静岡自賠責損害調査事務所は、Aの後遺障害を第12級14号(外貌に醜状を残すもの)に該当するものとした。
Bの加入している自動車任意保険C損害保険会社は、Bの後遺障害の逸失利益を認めなかったので、AはBを被告として静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起した。
Aは、被った被害は醜状傷害であるとはいえ、それは対人関係の構築や、円滑な他人との意思疎通を欠くものとして労働能力喪失率は67才まで14パーセントを主張した。
1審では和解できず、判決がなされ、裁判所は、18才から67才までを労働能力喪失率5パーセントとする旨の判決をした。
又、Aの父にも過失があるとのことで、被害者側の過失として、全損害額から20パーセントが控除された。
Aはこの判決を不服として、東京高等裁判所に控訴したところ、裁判所は和解を勧告し、18才から10年間は労働能力喪失率10%、67才までは5%とする和解案を示し、既払金281万0462円(12級の後遺障害保険224万円、その余は治療費)を除き、BはAに対し、650万円を支払えとした。
A、B双方とも、この和解案を受諾し、訴訟上の高裁和解が成立したものである。
女性の場合、醜状障害でも将来の労働能力喪失は認められるので、損害保険会社がないと言ってもあきらめる必要はない。
本件のように、裁判官でも労働能力喪失率の考えは異なるので、最後まで実情に即した主張をする必要がある。
なお、本件の場合、Aの父は、人身傷害特約付保険に加入していたので、損害額の20%に相当するものは保険から出た。