2015年11月27日解決
依頼者A(41才の男性会社員)はバイクを運転して進行していたが前方の信号機が青色を表示したのでそのまま前進したところ右方から赤信号を無視したB運転の加害車両が進行してきて衝突しAは跳ね飛ばされ路上に転倒し脳挫傷びまん性軸索損傷の傷害を負ったものである。
Aには情緒障害行動障害等の高次脳機能障害があり第9級10号と認定された。
Bは自分は青信号で進行していたものでありAが赤信号を無視したと主張しBの加入している自動車任意保険C損保もBの主張を維持しAの損害賠償請求に応じなかったものである。
やむなく当事務所はAを代理してBを被告として静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起した。
Aは警察署から信号サイクル表を取りつけこれによりAが赤信号ではなく青信号で進行したと主張した。
これに対し裁判所は信号サイクルからしてAの主張の方に信用性があるが不明な部分もあるのでAの損害の70パーセントをBに負担させるものとしてBはAに対し既払金940万円余の他に1434万円余を支払えとの和解案を提示した。
ABともこの和解案を受諾し訴訟上の和解が成立した。
本件は交通事故証明書上Aが第一当事者とされ甲欄にあげられるなど極めて困難な事件であったが信号サイクルをきめ細かく分析することによってAの主張を維持することができた。
とかく死亡事件や高次脳機能障害等の重度事案では加害者が被害者の過失を一方的に主張することもあるので周囲の者が当初から警察等にあたって証拠保全する必要がある。
このような事案の場合には初めから専門の弁護士に相談することがベターである。