(2015年7月3日解決)
依頼者A(51才の男性、会社役員)は、ごく零細な外装工事業を営む会社を自営していたが、知人4人を同乗させて車両を運転していたところ、交差点において、赤信号を無視したB運転のタクシーと衝突し、頭部打撲、胸部打撲、頚椎捻挫、腰椎捻挫等の傷害を負った。
Aは事故後アルバイト2名を雇い、会社の仕事に従事させ、かろうじて会社の損失は食いとめた。
しかし、Aは6か月間、工事現場で実地に仕事をすることなく、アルバイトに対し指示をするにとどまり、工事現場に復帰し働き出したのは6か月後であった。
Aの症状は1年後に固定となり、左頚部から左肩甲骨にかけて疼痛が残り当事務所はAを代理して被害者請求をしたが、静岡自賠責損害調査事務所は、Aの後遺障害を第14級9号(局部に神経症状を残すもの)と判断した。
当事務所は、Aの休業損害を6か月請求したが、Bの勤務先のタクシー会社の加入しているC損害保険会社の代理人は、Aは1か月後には日常生活が可能で仕事に復帰できたはずであるから、休業損害は1か月分しか出さないと主張した。
Aは裁判をして解決したいとの気持ちはなく、C損保が休業損害について2か月半(ほぼ通院日数に該当する日)まで譲歩するとの姿勢を示し、さらに、傷害の慰謝料、後遺障害の逸失料、後遺障害の慰謝料については、裁判所基準(赤本基準)の額を認めていたので、既払金127万0229円を除き、BがAに対し、320万円を支払うということで訴訟外の和解が成立した。
Aは単なるむち打ち症でなく、仕事もできなかったものであるから、この場合、月毎のペースで主治医から仕事ができない旨の休業を必要とする証明書を受領し、C損保に提出し、C損保の確認を得る必要があった。
休業損害の対象となる期間は、損害保険会社側と争いになることが多く、たとえ裁判になっても、簡単に被害者の主張する期間が認められないこともあるが、医師の休業に関する証明は不可欠である。
この場合、症状と仕事のできないことの関係を詳しく記載してもらう必要がある。