むち打ち症で後遺障害非該当が14級9号になり訴訟上の和解

(2015年4月16日解決)

A(31歳の女性、アルバイト)が車両を運転して走行していたところ、B運転の車両がA車両に追突し、Aが頚椎捻挫、腰椎捻挫等の傷害を負った。

Aは後遺障害について、被害者請求をしたところ、整骨院に通院した期間が3か月で、その後、2か月間の間、整形外科医の治療が中断していたことを理由に静岡自賠責損害調査事務所は、Aの訴える頚部痛等の症状に一貫性がないとして、後遺障害非該当と認定した。

その後、Aは当事務所に相談し、異議の申立てをしたが、結論は変わらず、AはBを被告として静岡地方裁判所に損害賠償請求の訴を提起した。

Bの加入しているC損害保険会社は、D医師の意見書を提出して、Aには後遺障害はないと主張した。

当事務所は、MRI画像を画像鑑定医にみてもらい、AにはC6/7に変性所見があるとの意見を得たので、それをもとにAには後遺障害があると主張した。

裁判所には鑑定をしてもらいたかったが、裁判官は自己の判断で、Aには後遺障害があり、その程度は14級9号(局部に神経症状を残すもの)であると考え、Bに対し、既払金(144万4535円)以外に260万円を支払えとの和解案を提示した。

Aはこの案を受諾し、A、B双方は訴訟上の和解をした。

Aは一刻も早く身体を元の状態に戻したいということで、整形外科医の治療を中断し、整骨院で施術を受けたが、事故から5か月目にC損保から施術をやめるように要求され、その後2か月間、どこにも行かなかったものである。

これがAの後遺障害認定にとってはマイナス要素として働いたものであり、Aが整骨院で施術を受けるのならば、あわせて整形外科にも通院すべきであった。

C損保の施術費の一方的な打ち切りは不当ではあるが、Aとしては、その後、健康保険を使用しても、整形外科に通院すべきであった。

Aが、その後、通院したE整形外科は被害者に理解のある医院で、自賠責後遺障害診断書も作成してくれたが、理解のない医院では自賠責後遺障害診断書を作成してくれないところも多く注意を要する。

自賠責後遺障害診断書がなくては、自賠責会社に被害者請求もできないことを銘記しなければならない。

本件の場合、MRI画像鑑定書の存在が一定程度、裁判官に影響を与えた思うが、裁判官の中には臨床医の意見を重視する傾向があるので、被害者は事故当初から一貫した身体の症状を訴え、これを裏づけるジャクソンテストなどの検査によって、医師の適切な臨床的見解を求めておく必要がある。

本件では12級を求めたが、非該当が14級になっても12級にまでなる事例は最近減少しつつあるので、注意をされたい。

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