(2013年9月24日解決)
主婦A(31歳)が普通乗用自動車を運転し、信号機のない交差点を通過しようとしたところ左方からB運転の普通乗用自動車が走行してきてA車両の助手席に衝突し、Aが負傷した。
Aは頚部挫傷、腰部挫傷と診断されC医院で治療を受けていたところ、Bの加入しているD損害保険会社は、ご多分にもれず、むち打ち症の治療は6か月以上は認められないと述べ、C医院に6か月以後の治療費は支払うことができないと圧力をかけた。
やむなく、Aは自費で治療を受け、5か月後に症状固定となった。
B(実質的にはD)は、Aに対し、Aの損害が160万円を超えて存在しないという訴訟を静岡地方裁判所に提起した。
この訴訟の最中にAの後遺障害が14級9号(局部に神経症状を残すもの)と認定され、Aは自賠責後遺障害保険金として75万円を取得した。
その後、裁判所から、A,B(D)双方に既払金を除き380万円を支払うようにとの和解案が示され、双方が合意し訴訟上の和解が成立した。
治療費についても、裁判所は後遺障害の症状固定日まで認め、過剰診療とせず、傷害の慰謝料も、症状固定日まで対象とした。
その他、後遺障害の逸失利益、後遺障害の慰謝料は裁判所基準(赤本)として算出されたが、主婦労働の休業損害は傷害の性質、程度を考慮して平成23年賃金センサスの女性労働者の平均年収355万9000円を用いるが、その50%とされた。
なお、10%の過失相殺がなされた。
Dに限らず、どの損害保険会社もむち打ち症であれば3か月位から治療をすることをやめるように求め、6か月もすると治療費の打ち切りをすることが多いが、むち打ちであっても6か月で治らない患者も多く、そのような場合、圧力に屈しないことが大切である。
但し、医師の判断が重要となるので、常日頃から医師との関係を良くしておくことが望ましい。
又、本件のように加害者の方から債務不存在の訴というような裁判が起こされることがあるがこの場合、すぐに弁護士に相談して対処する必要がある。