(2013年2月15日解決)
無職の男性A(84歳)は、自宅附近を散歩し、帰宅しようとし、信号機のない道路を横断中、脇見運転していた普通乗用車に跳ねられ、びまん性脳損傷を負い死亡した。Aの遺族Bらに対し、損害保険会社は、Aの過失を15パーセントと認定し、既払顎118万円余を除き、1284万円余の損害賠償額を提示した。
Bらは、これを不服として当事務所に依頼し、当事務所は自賠責静岡調査事務所に被害者請求をしたところ、同事務所は既払金を除き1810万6800円の査定をし、同金員は、自賠責保険会社からBらに支払われた。その後、Bらは静岡地方裁判所浜松支部に加害者を相手どって損害賠償請求の訴を提起した。提訴後5か月後に裁判所はBらの残損害額が500万円であるとし、和解勧告をし、Bらと加害者の加入している損害保険会社とも受諾し、訴訟上の和解をしたものである。結局、Bらは当事務所に依頼することにより既払金118万円余を除き2310万円余を取得できたもので、当初の損害保険会社の提示額より、1000万円程多く獲得できたものである。
損害保険会社の提示した慰謝料額は1400万円であったが、裁判所は赤本の上限額の2200万円を認定し、損害保険会社の査定項目になかった国民年金の逸失利益148万円とその他の逸失利益100万円を認めた上で、過失割合を15パーセントでなく10パーセントとしたことにより、大幅な増額になったものである。
損害保険会社は高齢者に対して概して低額な損害賠償額を提示するものであるが、疑問のある場合、あきらめずに弁護士に相談し、適正な損害額を算出してもらうことがベターである。死亡事案の場合、裁判に移行しても、あまり時間がかからないので裁判によって解決する方が損害額は多くなるものと思われる。